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大阪地方裁判所 昭和46年(わ)3489号 判決

一、本店所在地

大阪市南区南炭屋町三七番地

商号

日精鋼業株式会社

代表者氏名

塚田宗和

二、本籍

東大阪市三ノ瀬二丁目三三番地

住居

大阪市西区九条南二丁目一〇番一三号

職業

日精鋼業株式会社代表取締役

氏名

塚田宗和

昭和九年四月一五日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官忠海弘一出席して審理し、次のように判決する。

主文

被告人日精鋼業株式会社を罰金六〇〇万円に、被告人塚田宗和を懲役六月に処する。

被告人塚田宗和に対し、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人日精鋼業株式会社は大阪市南区南炭屋町三七番地に登記簿上の本店を同市西区九条南三丁目二二番地の一〇に事実上の本店を置き鋼材の売買、シヤーリング加工等の事業を営むもの、被告人塚田宗和は同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、同被告人は同会社の業務に関し法人税を免れようと企て

第一、昭和四二年一二月一日から同四三年一一月三〇日までの事業年度において、所得金額が三七、二〇二、九二二円で、これに対する法人税額が一二、六一五、六〇〇円であるのに、公表経理上架空仕入れを計上し期末たな卸商品の一部を除外する等の不正行為により所得を秘匿したうえ、同四四年一月三一日大阪市南区高津町所在南税務署において、同税務署長に対し所得金額が四、四〇七、二六五円でこれに対する法人税額は一、一五七、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同事業年度分の法人税一一、四五八、五〇〇円を免れた、

第二、同四三年一二月一日から同四四年一一月三〇日までの事業年度において、所得金額が四〇、一八九、九八八円で、これに対する法人税額が一三、三五二、四〇〇円であるのに、前同様の不正行為により所得を秘匿したうえ、同四五年一月三一日前記南税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四、二四九、一三九円でこれに対する法人税額は八〇八、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同事業年度分の法人税一二、五四三、六〇〇円を免れた、

第三、同四四年一二月一日から同四五年一一月三〇日までの事業年度において、所得金額が二八、七二三、六八一円で、これに対する法人税額が九、九一六、六〇〇円であるのに、前同様の不正行為により所得を秘匿したうえ、同四六年二月一日前記南税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四、四五九、八七八円でこれに対する法人税額が九九九、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同事業年度分の法人税八、九一七、〇〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判事全事実につき

一、南税務署長作成の証明書三通

一、大阪法務局登記官作成の商業登記簿謄本

一、被告会社の定款謄本

一、浜本重夫(三通)、板垣嘉雄(二通)、吉居美栄、伊崎正夫、塚田国次、花沢充(二通)、一井良明、奥井恵子、勝部和子、小林敏(二通)の収税官吏に対する各質問てん末書

一、吉居美栄(二通)、伊崎正夫、掛下胤延作成の確認書計四通

一、伊崎正夫、一井良明、木藪茂、東与五郎、坂下信之作成の供述書計五通

一、大阪国税局収税官吏作成の昭和四六年一〇月二九日付調査書

一、被告人の収税官吏に対する質問てん末書一〇通および検察官に対する供述調書

一、被告人作成の供述書二通および確認書

一、押収してある手形受払帳一冊(昭和四七年押第三五八号の一)、在庫帳五冊(同押号の五の一から五)、決算書メモ綴一綴(同押号の二一)、実地たな卸表一綴(同押号の二二)、空給料袋一綴(同押号の三一)

判事第一、第二の事実につき、

一、押収してある四三年度総勘定元帳二冊(昭和四七年押第三五八号の二〇の一、二)

判事第一の事実につき、

一、押収してある四三年度仕入日記帳、手形受払帳、買掛金帳各一冊(昭和四七年押第三五八号の二から四)、四三年度振替伝票一二冊(同押号の六の一ないし一二)、四三年度銀行勘定元帳一冊(同押号の一五)四二年度総勘定元帳、仕入日記帳各一冊(同押号の一八、一九)、四三年度元帳一冊(同押号の二五)、四二年度買掛金帳(同押号の二八)

判事第二、第三の事実につき、

一、渡辺省三作成の供述書

一、根本浩作成の確認書二通

一、押収してある四四年度総勘定元帳一冊(昭和四七年押第三五八五の二三)

判事第二の事実につき、

一、山本義文作成の確認書

一、押収してある四四年度手形受払帳、買掛金各一冊(昭和四七年押第三五八号の七、九)、四四年度仕入日記帳二冊(同押号の八の一、二)、四四年度銀行勘定帳一冊(同押号の一六)、四四年度元帳一冊(同押号の二六)、四四年度売上帳一綴(同押号の二九)

判事第三の事実につき、

一、柳敬秀、北浦俊一、河野稔、坂下信之の収税官吏に対する各質問てん末書

一、本間孝男作成の確認書

一、塚田富雄、河野稔(二通)作成の供述書計三通

一、押収してある四五年度手形受払帳、買掛金帳各一冊(昭和四七年押第三五八号の一一、一三)、四五年度仕入日記帳二冊(同押号の一二の一、二)、四五年度振替伝票一二冊(同押号の一四の一ないし一二)、四五年度銀行勘定帳一冊(同押号の一七)、四五年度総勘定元帳一冊(同押号の二四)、四五年度元帳一冊(同押号の二七)、四五年度売上帳一綴(同押号の三〇)

(法令の適用)

被告人らの判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項(法人の処罰につき、なお一六四条一項)に該当するところ、被告人日精鋼業株式会社については、これらの罪は刑法四五条前段の併合罪なので同法四八条二項により所定罰金額を合算した金額の範囲内において同被告人会社を罰金六〇〇万円に処し、また被告人塚田宗和につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、これらは刑法四五条前段の併合罪なので同法四七条、一〇条により最も犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役六月に処し、情状により刑法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

よつて、主文のように判決する。

(裁判官 砂山一郎)

右は謄本である。

昭和四七年六月一七日

大阪地方裁判所

裁判所書記官 田村剛

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